2018年06月02日

足音の原因。

そういえば、ブログなんてものをやっていた。

趣味仲間から続きは書かないのかと訊かれてね、それまで綺麗さっぱり忘れていたよ。

思い返してみると、最後に記事を継ぎ足したときの僕は、まだ学生の身分だったはずだ。それが今や社会に出てしばらくが経ち、一丁前にストレスで体調を崩したりしている。

まったく時間が過ぎていくのは速いね。

まあ、まだ昔に戻りたいなんて生意気言う歳でもないから、話を進めよう。


近況というか、しばらく前に友人と連れ立って山へ登ってきたんだ。
あー、何故登るのかと尋ねられても、残念ながら僕には〝そこに山があるからだ〟なんて気の利いた返しはできない。僕は惨めなくらい体力がなくてね、デスクワークの日々だし、この頃更なる下降の兆しを自覚して怖くなったんだ。要は身体を動かしたかったんだよ。

なかなかに急なコースを歩いたから、良い運動になった。おかげで翌日はベッドから起き上がれなくなったんだけど。


ところで、僕はこの時に初めて現代の登山靴というものを履いた。友人からの借り物だけど、サイズは同じでね。いやもうびっくりするくらい軽いし、心地よいフィット感。カルチャーショックだよ。僕はナーゲル靴しか知らないからね。感動に打ち震えて、すげえすげえと連呼していたら、友人から『一世紀近く前の靴と比べるんじゃねえ』と怒られてしまった。



さて、今回のテーマは靴だ。無論、僕の愛するドイツ山岳猟兵はキャラバンだのスカルパだのは履いていない。使う度に僕の足が悲鳴をあげる、重く堅い鋲だらけのナーゲル靴が彼らの標準だった。それに使う鋲を入手したので見せびらかそうと思う。


先に、ナーゲル靴に用いる3種の鋲、トリコニー、ムッガー、クリンカーを紹介しておこうか。

まずはトリコニー。ノコギリ状の形をしている。取り付ける靴の位置によって基部の形状も違い、それに応じてナンバーが振ってある。鋼鉄製で非常に硬いらしい。戦後スイス軍のナーゲル靴ぐらいでしか見たことないな。

次にムッガー。丸い中鋲で、靴底の中央や踵に用いる。岩とも馴染みやすく、他の鋲の補強にも使える。

最後にクリンカー。一番写真で確認しやすい鋲だと思う。主として靴の縁に打ち込むもので、軟鉄で作ってあり摩滅しやすいけど摩擦力を生む。爪先鋲としても優秀。


いずれも材料が鉄である以上、重くなるのは避けられないのであるからして、支持性を失わず且つ少数の打鋲に留めるよう工夫しなきゃいけない。


そして僕の手元にきたのはこれ、クリンカーが10個ばかり。
足音の原因。

資料によれば、打ちっ放しとなる『ショート打ち』と靴底のコバに貫通させて折り曲げる『リング打ち』という二つの打鋲法があるけど、僕の知る実物や写真に写ったナーゲル靴では大抵より脱落しにくい『リング打ち』がなされていた。

ナーゲル靴自体は鋲が付いた状態で支給されたそうだけど、当時の登山家と同じように山岳猟兵でも各人ごとに鋲配置のカスタムがあったみたい。山によって配置を変えるとも聞いたし。
足音の原因。


せっかくなので僕も打鋲に挑戦しようと思うんだ。レプリカのナーゲル靴はどうにも鋲の間隔が広くてね。


...まあ、全部打ち終えるまでは長くかかりそうだけどさ。
足音の原因。
打ち終えたらまた記事にしようかな。




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Posted by Kaspar Lueder at 22:57│Comments(0)装備紹介
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